中央競馬の重要性を確認
「最高の馬が、不当に打ち負かされた」と競馬記者のsは書いた。
ステージハンドはキャンターでウィナーズサークルに戻った。
「あの馬は、機関車でも止まってしまいそうなトラブルに見舞われた..・・・・斤量が同じなら、どんな生き物が出走してもかなわないだろう」シービスケットはSとHが待ち受けるスタンドの前に戻った。
Wは怒りに身を硬くしていた。
馬を滑り降り、カンガルー革の鞍をシービスケットからのろのろとはずす彼は、カウントアトラスへの怒りでほとんど口がきけなかった。
写真判定でステークスレースに敗れるのは、十年の騎手生活で初めての経験だった。
Hはシービスケットを見つめた。
馬は頭を高く揚げ、瞳を輝かせていた。
自分が負けたことを知らないのだ。
Hはふたたび、自分のなかで自信が湧きあがるのを感じた。
「またがんばろう」と彼はいった。
「この次はきっと勝てる」シービスケットが敗れた数分後、よろよろとA競馬場を出たH夫妻は、フォーマルに着替え、今一度あごを高く上げて、ステージハンドの勝利を祝すA・ターフクラブのパーティに出席した。
会場はざわめいていた。
その数時間前、フロリダはハイアリア競馬場のヤシの木の下で、ウォーアドミラルはワィデナーパンデ戦に楽々と勝利し、破竹の十連勝を飾っていた。
この三冠馬は、いつもゲートで手がつけられないほど暴れまくったため、ほとほと手を焼いた発走委員たちは、いつしかゲートに入れるのをあきらめ、代わりにゲートの外側でスタートラインまで歩かせるようになっていた。
ほかの馬は、ゲートのなかで静止した状態からスタートする。
スタートでどんなに手こずっても、ひとたび走りだすと、ウォーアドミラルはいつにも増してすばらしかった。
Wパンデ戦でも目の覚めるようなレースをくり広げ、誰もがシービスケットがサンタ戦で見せた驚異的な走りと比較していた。
二頭は祝賀会の、そしてアメリカ全土の話題となり、翌朝には国じゅうの新聞と雑誌が、ウォーアドミラルの勝利とシービスケットの敗北をとらえた写真を横に並べて載せた。
あらゆるタイプの刊行物に、2頭の優劣を論じるコラムが掲載され、2頭の対決に対する期待は、世界的に膨らみつつあった。
Hでは、記者たちが終始Hを取り囲承、自分の馬をLの馬と戦わせる気はあるかと訊いた。
Hはいつものように、イエスと答えた。
祝賀会のあとで、カリフォルニアに新しくできたハリウッド競馬場の経営陣がHにアプローチし、マッチレースの開催を正式に申し出た。
Hは、Lが話に乗ればシービスケットを出すと答えた。
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